高瀬川のゆるやかな流れを横目に、京都四条から木屋町沿いに北へ歩くと、何やら香ばしい匂いが。それを辿ってくと、その源には一軒のカレー屋があった。
店の中は全く見えないのだが、ビーフカレーで750円だから、敷居の高さは特に感じさせない。
意を決して中に入ると、昭和ノスタルジー漂う 店内には、古めかしいながらも手入れされたテーブルを中心に、10数席。厨房には見た目50代半ばくらいの穏やかな おかあさんが居た。
チキン、エビ、ビフカツカレーも気になるなかで、ビーフカレーの名を告げた。
5分程で運ばれてきたカレーライスを見てわたしは驚いた。なんとカレーはスープのようにサラッとして、その殆どが白ご飯全体に吸われているのだ。そして具はシンプルにビーフのみ。もったいないが(野菜などの)他の具は搾って旨みのみをカレーに加えているとのこと。
このカレーはスパイシーで、自然な甘さが特徴的。「砂糖は少しだけで、あとはフルーツと野菜の甘み」なのだとか。
硬めに炊いたご飯はスープ状のカレーを吸って味がよく染み込んで、汁と飯粒が渾然一体になり、舌によく馴染じむ。そのためにばくばくと食べ進んでしまう、何とも不思議なカレーである。これは他のカレーライスともドライカレーともまた違う、独特の味わいだ。
おかあさん曰く、どこかの国や店のスタイルを真似た訳ではなく、49年前に先代である叔父さんが試行錯誤を繰り返して完成させたオリジナルのカレーなのだとか。
約半世紀に渡り、地元や関西の人のみならず東京方面の人々にも愛されてきたのも納得できる、どこか懐かしい一皿だ。
【オススメ度】★★★★