日本国民総グルメの時代。日本のテレビ界ではとにかくグルメ番組が多い。局が数字に困ったらグルメ特番、温泉グルメに、ラーメン企画。ゴールデンタイムにチャンネルをTX系に合わせると、かなりの高確率でグルメ番組が放送されている。他のチャンネルではあまり見かけないマイナー芸人や懐かしの俳優たちが口を大きく開けてパクついて、オーバーリアクションをとっているのだ。余談だが、私も大学を出たての頃に番組の制作を手伝ったこともあるのだが、ジャンルはやはりグルメ番組だった。
もう10年位前に終了したが、あまからアベニューという番組が好きだった。当時は絶好調だった雑誌、あまから手帖との連動もあって面白かった。その後釜として始まった番組が魔法のレストラン。当初はフレンチ・イタリアン・和食・B級グルメとバランスの良い内容で魅力的に思えたが、年々その内容がチープになってきている。串カツ特集、お好み焼特集、ワンコイン特集などなど、この半年で急速な大衆化が進み、前回はスーパー玉出の舞台裏を軽いドキュメントタッチでリポートする有様。カンブリア宮殿かと見紛うような瞬間すらあった。
それに一時期は、マイナーな店ばかりが建ち並ぶ茨木で、近所のごく普通のお店が立て続けに紹介されるという、信じられないことまであった。
確かに見ていて面白いときもあるのだが、「魔法のレストラン」という番組名からは程遠い内容に成り下がってしまっている。もうそろそろネタが尽きて魔法が切れて終焉を迎えるのでは、と私の周りではちょっとした噂になっている。次の番組はぜひ「あまからアベニュー」的な内容にしていただきたく思う。